トラブルにならないための〜法律の相続対策
トラブルにならないための〜法律の相続対策
文書作成日:2020/08/20


 今回は相談事例を通じて、共同遺言についてご紹介します。



 私たち夫婦には子がありません。どちらが先に亡くなってもお互いに全財産を渡したいと思っています。二人でこの旨の遺言を一通の紙に遺しておけば、できるでしょうか。




 ご夫婦がそれぞれお互いに全財産を渡す遺言を作成すれば、可能です。ただし、それぞれが別の紙に書く必要があります。なお、配偶者が先に死亡しているときは誰に財産を渡したいか、ということも考えておくと良いでしょう。




1.共同遺言の禁止
 二人以上の者が同一の証書によって遺言することを共同遺言といいますが、これは禁じられており(民法第975条)無効となります。遺言は自由に撤回することができます(民法第1022条)が、共同遺言を可能とすると、自由な撤回が難しくなるため、遺言の自由の原則に反する恐れがでるなどの理由から共同遺言は禁止されています。また、一方の遺言が失効した場合、他の共同遺言者の遺言の効力をどうとらえるかの問題も想定されます。
 そのため、ご夫婦がお互いに財産を渡す内容であっても、一人一つずつ遺言書を作成する必要があります。

2.補充遺言
 遺言者の死亡以前に受遺者(財産をもらう人)が死亡したときは、その効力を生じません(民法第994条)。したがって、「配偶者に相続させる」旨しか遺言せず、遺言者の相続開始時に配偶者がすでに死亡している場合には遺言は効力を生じないため、遺言者の法定相続人が遺産分割をして財産を取得することになります。そこで、「配偶者が先に死亡している時には誰に遺産を渡したいか」ということも、遺言しておくことが大切になります。これを「補充遺言」といいます(「予備的遺言」と呼ばれることもあります)。
 特によく面倒を見てくれた兄弟や甥姪などに財産を渡したい場合は、その旨を遺言しておくことで遺産分割協議を行うことなく、スムーズに遺産の受け渡しを行うことができます。

 補充をすることなく相続を迎えた場合でも、配偶者死亡時に遺言の書き換えができれば良いですが、年齢を重ねるごとに遺言を書くことが難しくなる傾向にあるため、ご夫婦ともに補充遺言も書いておくと良いです。

 このほかにも、有効な遺言書を作成するためには遺留分について考慮しているかなど、注意する点はいくつかあります。相続が起こってから思わぬ争いを生まないためにも、専門家に相談をして作成されることをお勧めします。

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